slopelife

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「解体屋ゲン」がめちゃくちゃ面白い

アマゾンの本読み放題サービスの「Kindle Unlimited」では、本だけでなくマンガも読める。

お盆休みの間に何気に選んだ「解体屋ゲン」(こわしやげん、と読む)がとてつもなく面白く、執筆の時点で読める全58巻を一気に読んでしまった。

 

物語の主人公は、建築物の解体業をしている「朝倉巌(あさくらいわお)」、通称「ゲンさん」。

初対面の相手には

「朝倉巌だ。ゲンと呼んでくれ。」と挨拶をするのが定番。

ゲンさんは、かつてはフリーの爆破解体の専門家として世界を渡り歩き、帰国後は一人で、解体業を営んでいた。そこに大手ゼネコンに勤務する大月慶子が爆破解体に興味を持ち、仕事を依頼するところから物語は始まる。

はじめは、よくある現場ネタかと思っていた。しかしこのゲンさん、持ってる技術はすごいのだが、それ以上にすごいのが人や仕事に向き合う姿勢。

それによって様々な仲間が集ってくる。独りではできないことを、仲間と一緒に成し遂げてゆく姿に、読んでいてワクワクする。

解体業だけでは食えないという現実に向き合い、また様々な職人さんたちをどのように生かし、お客さんのために最高の仕事をしようと必死で取り組む姿が眩しい。

連載開始後約20年が経とうとしているが、時の世情やテクノロジーなどが上手に物語に織り込まれている。

伝統的な工法から最新の技術の紹介がありそういった意味でも勉強になるが、単に建築物にまつわる仕事だけでなく、「地域活性化」や「業界の発展」などの要素もある。たまに国家プロジェクトや国をまたいだ巨大な案件に巻き込まれることもある。

ゲンさんもそうだが、他の登場人物も、プロジェクトで困難な課題に向き合った時、徹底的に、時には徹夜をしてでも何かアイデアが無いかと考えている。とことん考え抜き、疲れてウトウトしている中で、これまで考えたことや経験を夢に見て「これだ!」とアイデアが閃くシーンがよくある。自分を振り返っても、深く共感できる経験だ。

タイトルは「こわしや」だが、ゲンさんのやっている仕事は、常に何かを作り上げている。そういう仕事が出来るようになりたい、と勇気をもらえる作品だった。

こんな素晴らしい作品がKindle Unlimitedで一気に読めるなんて、本当良い時代になったものだ。