slopelife

日々の記録、感じたこと、思ったことなど。

支払督促までの経緯

支払い督促制度を利用した未払いの賃金や立替え経費の回収が一段落した。

裁判所を活用するなんて初めての経験だったが、弁護士や司法書士のような法律家に依頼せず個人で手続きを進めた。せっかく貴重な体験ができたので、備忘録も兼ねてブログに残しておこうと思う。

初回は支払督促を活用するに至った背景について、かんたんに説明させて頂く。

支払督促の対象は以前に勤めていた法人(株式会社)である。5年ほど前に代表から誘われて入社し、初めの数カ月は約束通りの給与が振込まれていたが、3,4ヶ月目あたりから滞り始めた。

ベンチャー企業で資金繰りが大変な事を知っており、自分もある程度は経営者目線で参画していたので、資金繰りのタイミングもあろうかと思い柔軟に対応するつもりだったが、充分な説明が無いまま約1年後には未払い給与の残高が増え、同時に立替え経費もまとまった金額となっていた。

今から考えると自分も未熟で、雇用契約としての給与が支払われないのであれば即座に契約の見直しをするべきだったし、安易に経費の立替えはすべきではなかった。当時は経営者目線などといい気になっていたが、重要な経営方針に対して納得できる議論が無く意見が採用されないのであれば、被雇用者として主張をきちんとすべきだった。

経営者か被雇用者かが中途半端な状態で、会社の成長につながると信じる行動が承認されない一方で不透明な財務状況があり、経営方針にも共感できなくなった会社に対して未払いの給与をこれ以上積むリスクを許容できなくなったので退職を決めた。

退職時には未払いの給与と未精算の立替経費がそこそこの金額になっていた。代表からはそれらについては何年かけてでも必ず払う、という申し出があった。状況が状況なので数年掛けて支払ってもらえれば良いと思い、やや長めの猶予を設けて覚書を交わした。

また当法人には上記とは別に出資もしていた。辞める際に出資金は速やかに返還したいと代表者から申し出があったため、退職日から半年の期限で覚書を交わした。

出資金は返ってこなくて当たり前と思って退職を伝えたが、返還したいと期日を区切って主張してきたのは先方だったので、だったらちゃんと約束は守ってね、と、何度か催促した。結果的に返ってきたが、その際の「借金の催促」について、精神的な負担感が強かった。金融機関で債権回収の仕事をしている人はすごいなと思う。

数年が経ち、上記の債権(未払い賃金、未精算経費)の支払期日が過ぎても、前回の出資金の時と同様に連絡が無かった。

代表者に確認したところ「3ヶ月後には支払う」と返答があった。しかし再度連絡がないまま支払期日を過ぎたので、これ以上催促するのはこちらにとっても精神的負担が大きい。

できれば穏便に済ませたいと考えていたが、うやむやにできる内容でも無いので、弁護士の友人に相談していた。友人曰く、この手のタイプは主導権があると、のらりくらりと引き伸ばされる、特に争う事実が無い場合は、裁判所から判決を取って主導権をこちらが持つようにしたほうが良いとアドバイスを受けていた。

債権については明確な覚書があり争う事実は無い中、出資金の時と同じ事を繰り返す気力がわかなかったので、粛々と手続きを進めることができる方法として、裁判手続きでの解決を選択した。

本件は債権者が筆者(個人)、債務者は法人となる。したがって、会社を潰されると回収不能になる。全額回収できるに越したことはないが、今回のゴールは裁判手続きを完了するまでと設定した。要は最悪回収不能の可能性もあるが、白黒はきっちりつけておきたい、という意図だった。

以上が支払督促を活用するに至った背景である。尚、手続き等について、できるだけ事実に近い内容にはするが、プライバシー保護のため、いくつかのフィクションは混ぜて書いてゆくつもりだ。

また、今回の手続きについて、将来は法律改正等によっては内容がそぐわなくなる可能性があることはご理解いただきたい。