slopelife

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北海道ツーリング2021 Day2 (後編)〜エサヌカ線の絶景〜

前回の続き

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宗谷岬を後にオホーツク海沿いの国道238号線(通称:オホーツクライン)を南に暫く走ると「猿払(さるふつ)村」に入った。

 

猿払村は北海道最北の村。
通過しながら村の様子を見ていると、小さな漁村という感じだった。立派な家が多く、近代的な漁港があったのが印象に残っている。後から調べたら、猿払村はホタテの水揚げで有名な村らしい。

 国道238号線をそのまま南下し、村の中心部をを離れて辺りが原野に変わると、さらに強い風が吹きつけてきた。午前中に走った日本海側の道も強い風が吹いていたが、オホーツク海側もなかなかのもの。この風の強さは日常的なものなのか、それとも今回の悪天候ならではなのか。

風に煽られないようにハンドルをしっかり握って南に向かって暫く走ると「エサヌカ線」の看板が出てきた。

「エサヌカ線」とは直角のクランクを挟んだ約4km,8kmの直線が続く猿払村の村道で、北海道の絶景ロードとして有名な道だ。

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地図のように国道より1本海側に入る道なので、さらに風が強くなる可能性もあったが、これを通らずしてオホーツク海沿いを南下する意味はないと思い、バイクを左に傾ける。

エサヌカ線に入ると、噂通り本当にまっすぐの道だった。

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ガードレールの無い両側は牧草地が広がっていた。ずっとこの景色が続くので、スピード感覚が麻痺する。バイクゲームなら単調なシーンに飽きてしまい、即やめてしまうだろう。しかし現実世界ではこの単調さが貴重な体験。

「エサヌカ」の意味が気になって調べたが、手がかりになるような情報はなかなか出てこなかった。猿払村のポータルサイトにも紹介はあるものの、言葉の意味の説明は記載されていなかった。

sarufutsu.jp

 

いろいろ調べて、ようやく下記の記事を見つけた。

www.kitakaido.com

此地を3度訪れた松浦武四郎は海岸沿いのイシヤヌカルと猿払川沿いのヲン子イシヤヌカルの二つの地名を記している。本来はエサヌプカルであったのがいつの間にかエサヌカと呼ばれるようになったのか。モケウニ沼はアイヌ語では「小さい(子供の)ケウニ」なのだが一番大きい沼がモケゥニと謎めいている。

というわけで、アイヌ語が語源らしいが、結局意味までは分からず。

ひたすら真っ直ぐの道は、前も後ろも地平線の消失点まで続いている。所々に牧草地に降りるための通路があり、その部分の路側が広くなっているので、何度かそこにバイクを止めて記念撮影をした。

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バイクを止めて見て時折通り過ぎる車やバイクを眺めていると、遠くに影が見えてもしばらくはやってこない。と思ったら、結構なスピードで目の前を駆け抜けてゆく。スピードと時間と距離の感覚が変になりそうだった。


インスタでエサヌカ線のハッシュタグを見ると、道路を横切る形でバイクを置いて撮影された写真が散見された。「映え」があって素敵な写真だけれども、自分は遠くに車やバイクが見えると焦って上手にバイクを移動できないだろうから、路肩に置いて記念撮影をするにとどめた。

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後半は牛が草を食む姿も。

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どこまでも続くと思った直線にも当然終わりがあった。

すれ違う車やバイクもまばらで、曇天の中ではあるけど独りだけの直線道路の世界を充分に堪能できた。次回は天気のいい日に通りたいな。

 

エサヌカ線を出ると、本日の幕営地となるクッチャロ湖のキャンプ場まではすぐだった。

 

クッチャロ湖畔のキャンプ場に到着し受付を済ませる。到着時はかろうじて小雨だったが、テントを張り出したあたりから少しずつ雨が強くなり、タープを張り終えた時にはすっかり本降りとなっていた。改めて写真をよく見ると雨がマンガの集中線のように写っていて、その降りっぷりがよく分かる。

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 夕食はメスティンでご飯を炊くつもりでお米を持参してきたが、おかずなどは買い出しに行かねばらないので、とりあえずタープとテントを張り終えた後は、近くのセイコーマートへ向かった。準備している間にさらに雨は土砂降りになり、ヘルメットをかぶると前が殆ど見えない状態になってしまう。眼鏡もぬれてしまい、ほとんどまともに見えない中、ゆっくりとバイクを走らせた。グローブもブーツもびちょびちょ。

買い出し前に撮った写真が雨の降りっぷりを物語っている。

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セイコーマートに着いた時点では、まだ悠長に朝食はスキレットでベーコンエッグを焼こうなどと思って、卵とベーコンを買った。が、結局使うことなく自宅に持って帰ることになる。

キャンプの受付で薪を売っていたので、大雨の中、タープの下で火をおこす。
幸いよく燃えてくれて暖を取ることはできた。暖を取りながら夕食の準備。サンマの蒲焼缶詰で炊き込みご飯を作った。

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食事はなんとかうまく出来たが、とにかく雨がやまない。
油断していると焚き火にも雨が吹き込んで、火が弱くなってしまう。北海道くんだりまできて苦行のような夕食を取っている自分がなんだか可笑しかった。これぞ旅の醍醐味とも言う(笑)

 

なんとかすべての薪を燃やし尽くした後は、キャンプ場に併設された風呂に向かう。
冷え切った身体を風呂で温め、小雨になったタイミングを見計らってテントに戻った。


寝袋に潜り込みスマホで天気予報を見ると、この後も数日間は雨予報だった。昼間濡れるのはいいとしても、濡れたブーツや服を乾かす必要がある。コロナではなくても濡れた服で身体が冷えて風邪を引いて発熱すると帰りのフェリーに乗れなくなるので、翌日以降はホテル泊にしたほうが良いと判断し、ネットで空き情報を探したら幸い予約ができた。それにしてもネットがない、スマホがない時代だったらどうしたんだろう。

 

翌日以降の寝床を確保した安心感か、どっと疲れが出て気がついたら寝落ちしていた。